第11話(最終話)STORY |
全ての真実と向き合った善男(小日向文世)は、死ぬ決意を固め行方をくらました。善男を止めたい平太(松田龍平)だが、みずほ(小西真奈美)にも、善男が話していた“二人の心がつながった場所”を思い出すことができない。
翌日、仕事先でしのぶ(吉高由里子)は、善男が画集を大切にしていたことを思い出し、平太に伝える。そしてみずほはついに、善男と心がつながったときの出来事を思い出した。
それは、二人が好きだった絵「クリスティーナの世界」のことを話していたある日。絵の中で、背を向けて横たわる女性クリスティーナ。「僕はずっと見つめていたい。たとえ彼女がふり向いてくれなくても」三波を思い、決して善男の愛に振り向くことのないみずほ。善男の言葉はみずほに突き刺さった。「この絵の風景とよく似た場所があるから、いつか一緒に行ってみないか」と言う善男に、思わず頷いたみずほ。それは確かに、心か通い合った瞬間だった…。
一方、携帯の通話記録の偽装を見破った杉本(生瀬勝久)は、刑事を伴いアパレルメーカーへと乗り込んだ。みずほの身近にいる者しかできない偽装―それは森脇(要潤)が仕組んだものであった。会社をのっとるために。リカ(栗山千明)は、昨日の善男の証言により釈放。さらに丸山(眞島秀和)たちが逮捕されたことで、2千万円の借金返済からも免れることに。独り自由をかみしめるリカ。
その頃善男は、「クリスティーナの世界」によく似た草原へとやって来た。廃屋の屋根に上ると、眼下には切り立った崖と海。初めて感じる、死への壮絶な恐怖。「ネガティブ善男、出て来い!お前の思い通り今から死んでやる」しかし叫びはむなしく風に吹き消される。「出てきてくれ!」悲痛な叫び。その時、背後に気配がした。振り向く善男。そこに現れたのは……平太だった。
死ぬことだけは誰の指図でもなく自分の意思だ、思い通りにさせてくれ。そんな善男に平太は、初めて告白した―父親が自殺したこと。父親をずっと許せなかったこと。弱い奴は消えればいいと思っていた時、善男と出会い、利用してやろうと思ったこと。でも、善男の人となりを知っていくうち、弱くたっていいじゃないかと思うようになった。善男も父も、弱くたって必死で生きていた。自分が父親を嫌いだったのは、弱いからじゃない、自分たちを置いて死んでしまったからなのだ、と。善男のお陰で、父親を許せた自分。
喜多さんは生きててくれよ!生きてカレー、俺のために作ってくれよ!必死の形相で善男にしがみつく平太。確かに感じる、そのぬくもり。心の底から自分を必要としてくれる人が、ここにいる。善男は初めて自分を許した。弱くても、かっこ悪くても、生きていていいんだ、と。
釈放され、警察署を出てきたみずほの前に現れた善男。ただ黙って見つめ合い、互いの人生が二度と交わらないことを確認する2人。
一方平太は、リカから別れを告げられる。善男の人の良さが、リカには心苦しかった。平太はそんなリカの痛みもわかっていた。「また連絡するから、な」
数日後、公園で手紙を書く善男。母親あてのその手紙には、仕事を探し始めたこと、新しい友人ができたことなどが綴られている。
<今度連れていくよ。おふくろのカレーをご馳走したいと思っているから。>
数え切れないほどの明日が、これからやってくる。日差しの中、善男は地面を踏みしめ歩き出した。視線の先では、“新しい友”が手を振っている。 |
CAST |
小日向文世、松田龍平、小西真奈美、栗山千明、若松了、今井雅之、吉高由里子、要潤、生瀬勝久 ほか |
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【第2話】【第4話】 |
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習志野市内の共同住宅
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【第11話】 |
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屏風ヶ浦(銚子市)
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