【あらすじ】
医師としての地位も名誉も未来も捨て、弱者を救うために巨悪の陰謀と戦い抜いた天才外科医・鳩村周五郎(船越英一郎)。妻の死の真相を突き止め、ひとときの安らぎを手にしたのもつかの間、今、また新たな試練が彼の前に立ちはだかろうとしていた―。
七ヶ瀬村に村人たちの悲鳴が響き渡る。村祭りで振る舞われた、名物のフキ汁を口にした村人たちが次々と倒れたのだ。“あいつがやったんだ!”、目を血走らせた村人が必死で逃げる下山時雄(小倉一郎)を取り押さえた…。それは18年前に起きた事件。
その七ヶ瀬村は今、もうすぐダムの底に沈もうとしていた。地方都市のターミナル駅に降り立った鳩村周五郎。駅前広場では県議会議員の岩村孝昭(井坂俊哉)が街頭演説をしている。そばには秘書の工藤正美(伊佐美紀)がいる。「助けてほしい! 先生の力が必要なんです」という村人からの匿名の手紙を受け取った周五郎は七ヶ瀬村に向かおうとしていた。バス停を探していたそのとき、突然、ビルの工事現場で崩落事故が発生する。一目散に駆けつけ負傷者の応急処置をする周五郎。孝昭たちも合流して協力する。
東京ではホームレスの男が何者かに原形を留めないほど殴打され死亡する事件が発生し、捜査に当たる小室源介(内藤剛志)。男の薄汚い小屋で小室が目にしたのは、七ヶ瀬村に関する記事が載った大量の新聞だった…。
七ヶ瀬村に着いた周五郎は祭りばやしに誘われるように春祭りでにぎわう神社に向かう。大島富江(梅沢昌代)が出店している屋台で串団子を頬張っていると、生意気そうな富江の孫・大島健太(林遼威)が現れる。カメラマンの浅沼清隆(弓削智久)が祭りの光景を撮影しているところへ、県議会議員の孝昭が秘書の工藤正美や事務所スタッフの杉山秀男(内田朝陽)、地元後援会の平松和也(佐々木崇雄)らを引き連れてやってきた。この村が元気を取り戻したのは県会議員であり、村のリーダーである孝昭の力だという話が聞こえてくる。
孝昭の大きな屋敷にやってきた周五郎。広い庭に大勢の村人が集まり、巨大な鍋で作られた名物のフキ汁が振る舞われていた。もてなす側に孝昭の母で家長の岩村貴子(坂口良子)や商工会のリーダー横井誠(田窪一世)、来賓側に村長の金村稔(二瓶鮫一)らの姿がある。孝昭、杉山、正美たちも給仕を手伝い、浅沼がその光景を写真に収めている。そんな中、フキ汁を食べていた金村の様子がおかしいことに気づく周五郎。すると突然、器と箸を落とす金村。見渡せば何人かの村人の様子もおかしい。食べたらダメだ! と叫ぶ周五郎。傍らにいた健太のフキ汁も叩き落とした。貴子や孝昭も突然の事態に声も出ない。そこに大島富江の声が響く、“先生何してるの?”。振り返れば女医の胡桃沢綾乃(星野真里)がぼうぜんと立ち尽くしていた。周五郎に促されて、医師としての自信を失っている綾乃も応急手当てを手伝う。周五郎は他の患者に比べて金村の症状がひどいのが気になっていた。よく見ると、金村の使っていた器は他の村人に配られたものとは違うものだった。
毒物混入事件とみて捜査が始まる。陣頭指揮をとるのは地元の刑事・近藤利光(松澤一之)と山根修(伊藤竜也)。無差別に村人を狙った悪質ないたずらではとみる近藤に、周五郎はこれは殺人未遂であり、それも村長一人を狙った可能性がある、村長の使ったおわんを調べてほしいと主張する。こんな騒動の最中、東京から警視庁捜査一課の刑事・小室源介が現れる。東京で殺されたホームレスがこの村と何か関係があるのではとにらんでのことだった。その日、結局、綾乃の診療所に宿泊することになった周五郎と小室。村長殺害が目的だとして、なぜ犯人は大勢の村人を巻き込む騒動を起こしたのか…。そんな二人のやりとりに聞き耳を立てる人影…。そこにいたのは綾乃だった。その翌日、断末魔の叫びが崖に響き渡る。転落したのは商工会のリーダー横井だった…。村長が殺されかけて今度は商工会の代表が死んだ。あの忌まわしい18年前の事件をほうふつとさせる今回の事件…。実は毒物混入の疑いをかけられた下山時雄も崖下に落ちて死んでいた。18年前の事件とは果たして何か関わりがあるのだろうか…。ホームレス殺害事件とのつながりは…。綾乃の不可解な行動は一体何を意味しているのか…。秘められた全ての謎が解けようとしていたとき、周五郎の身にも危険が及んでいた…。 |