淡路島の裕福な船乗りの次女として生まれ育った井植(いうえ)むめのは、大正4年、親もない家もない、財産も学問もないという大阪の電気工・松下幸之助 と結婚した。むめのにとっては姑(しゅうと)のいない気楽さと、財産も一から夫婦で築いてゆくことを望んでの結婚であったが、それは貧乏生活の始まりでも あった。
幸之助は、新婚早々会社を退職、独立するがうまくいかない。「成功するまであきらめない。成功の秘けつは成功するまでやめないこと」という夫を、質屋に通い、得意の針仕事の内職でむめのは助けてゆく・・・。
極貧の生活から事業の失敗と成功、戦争の混乱の中での浮沈を、時には大きなケンカもしながら共に味わってきた、むめのと幸之助という夫婦の物語を、時代のスケール感も豊かに描いてゆく。
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