・・・2016年、東京の片隅で、それなりに、
普通に生きていた私。
しかし、その“普通”であることは、こんあにも残酷に、
そしてあっさりと崩壊してしまった・・・。
結婚相手でさえ、ネットの出会い系サイトで探すことができ、
家族や友人などの人間関係さえサービスとして購入できるこの時代、
物事をあんまり考えず、感情を波立たせず、
というように「人並み」に生きていたひとりの女性が、
いろいろな出会いと経験を通して、生まれ変わっていく、
という現代版「女の一生」。
これまで、女優たちの新たな魅力をスクリーンへと昇華させてきた
岩井俊二監督が、本作の主演に迎えたのは黒木華。
映画に愛される未来の女優を探すというテーマで行われた
オーディションで岩井俊二に見出されたのが4年前。
主役の七海は当初から彼女を主演に想定して書き起こされた。
共演は綾野剛。「スワロウテイル」に強烈な影響を受けたという
綾野が変幻自在な何でも屋、安室を怪演する。
謎めいた七海の同居人、
真白を演じるのはシンガーソングライターのCocco。
その個性と存在感は圧倒的。
『四月物語』に『花とアリス』等、
女の子が日常の中で「ありえなそうだけど、
現実にそんなこともある」事件や不条理に出会いながら
成長していくという物語は、
岩井俊二監督が非常に得意とする映像テーマ。
本作はその通奏低音に、格差やおカネの問題、自立すること、
恋愛の多様なあり方など、
現代社会が今、
そして、これから抱え続けて行くだろう問題が響き続けている。