花村乃里子(沢口靖子)は、警視庁鉄道捜査隊東京駅分駐所に所属する鉄道捜査官。これまで、倉田課長(地井武男)や同僚の協力を得て数々の難事件を解決してきた。
ある日、分駐所に中井美矢子(佐藤藍子)という女性が、京葉線の丸の内改札口はどう行けばいいのかと訊きにきた。彼女は、そこで、外房特急『わかしお20号』で帰ってくる姉夫婦と待ち合わせしているというのだ。ちょうどパトロールに出ようとしていた乃里子は、後輩の立花(金子昇)とともに、丸の内改札口まで美矢子を案内する。
改札口にはすでに、列車から降りた乗客たちが姿を見せ始めていたが、その中に、ふらふらと酔っ払ったような足取りの男がいた。そしてその男は、美矢子が駆け寄ったところで、床に崩れ折れてしまう。救急車で病院に搬送されたものの、男はそのまま息を引き取ってしまった。
翌日、乃里子たちは、死亡した男が美矢子の姉・冴子(ひがし由貴)の夫で、飲食チェーン社長の高見沢敬(清水昭博)だったことを知る。死因は遅効性毒物による中毒死だという。
高見沢の背広のポケットに遺書らしきメモが入っていたことから、本庁では自殺と他殺の両面から捜査に当たることになり、乃里子は倉田から、死亡するまでの高見沢の足取りを追うよう命じられる。
わかしお20号の女性車掌は、高見沢が外房いすみ市の大原から一人で乗ってきたと証言する。だが、大原から東京まで、高見沢に特に変わった様子は見られなかったという。
その足で高見沢家を訪ねた乃里子は、美矢子から、いまだに姉と連絡が取れないと聞かされる。美矢子の話では、高見沢夫婦は観光を兼ねたビジネス目的で房総半島を回っていたという。新店舗を開くための物件を見て回っていたらしい。
姉の身を心配する美矢子とともに高見沢夫婦の足取りを追うことになった乃里子と立花は、安房鴨川のホテルで、高見沢宛に電話がかかってきた後、彼と冴子の間で急に険悪な雰囲気になったとの情報を得る。高見沢は冴子に、「この浮気女」と怒鳴っていたというのだ。
やがて、養老渓谷で後頭部を殴られた冴子の死体が発見される。果たして本当に、高見沢は妻を殺した後、電車に乗りながら自殺を図ったのか!?
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